これからフルートを始める方へ

 これからフルートを始めよう!という方にはいろいろな疑問もあると思います。「楽器はどこで買えば良いのか?」「どんな楽器が良いのか?」「その他に必要なものは何か?」「結局初期費用はいくらくらいかかるのか?」「譜面は読めなくても大丈夫なのか?」「大人から始めても吹けるようになるのか・・・??」

 ここでは楽器を始める方が抱くであろう疑問についてお答えします。

まずは楽器

 何をおいてもまずは楽器、フルートを手に入れなければなりません。おそらくこちらのホームページにお越しの皆様は、ある程度検索をして色々な楽器について既にリサーチ済みだと思います。

 フルートは他の楽器と比べて比較的安価に買うことができます。それもフルートが手軽に始められる一つの理由でもあります。

 すでに楽器を購入されてから体験レッスンにいらっしゃる方も多いのですが、楽器は講師と一緒に選んだ方がお得で安心な場合がほとんど。楽器選びはとても大事なことなので、楽器店のご紹介*・選定**など、これから購入される生徒さんをしっかりサポートいたします。

 

*お買い求めになる楽器のクラスによって、最適な楽器店のご紹介が可能です。講師から楽器店にあらかじめ連絡を入れますと、講師の同行がなくても割引の特典を受けられます。(一部店舗。割引は新品の楽器に限ります。)

**楽器店での選定に講師が同行する場合、1時間前後の時間と交通費がかかるため、選定料(3,500円/回・交通費込み)を頂戴しております。あらかじめご了承ください。

 

以下にご紹介している楽器の価格は税抜きの定価です。また、メーカー各社のホームページ上に掲載された最新の価格(2019年3月時点)を表示していますが、変更されることもありますのであくまで参考です。

★初心者の方にオススメの楽器★

 

 低価格帯のフルートの代表格はやはり「ヤマハ」です。過去に楽器経験のある方で、「ヤマハは初心者用だしちょっとカッコ悪いなぁ」という印象をお持ちの方もいらっしゃると思います。しかし、ヤマハの楽器は低価格のものでも信じられない耐久性を持ち、フルートとしてちゃんと使っていけるものです。この価格でこれほどのものを作ることができるというのは、とても凄いことです。

 同じくらいの価格帯の楽器を作っているメーカーは他にも「アズミ(アルタス)」「パール」などがあります。

 

ヤマハYFL212

定価:82,000円

仕様:白銅・洋銀(銀メッキ)、Eメカあり

 

旧モデルである211・221に変わって最近登場した新モデル。E(エー)メカニズム(通称Eメカ)を標準装備。Eメカが付いていると、鬼門である3オクターブ目のミの音が出しやすく、他の音からの連結もスムーズに演奏できます。

パール Presto

PF-505E

定価:78,000円

仕様:洋銀(銀メッキ)、Eメカあり

 

基本的にはヤマハYFL212と同じスペック。Eメカ標準装備。ヤマハと比べると少し重量が軽い印象ですが、それほど差はありません。ヤマハがくっきりした音になるのに対し、パールはやや音の立ち上がりがソフトな印象(あくまで個人の見解です)。

パール Brillante

PF-525E

定価:87,000円

仕様:洋銀(銀メッキ)、リッププレート・ライザー銀製、Eメカあり

 

505Eとの違いはリッププレート(頭部管の唇を当てる部分)が銀製であることです。銀製でないものより音の充実感があります。

アズミ(アルタス)AZ-Z1E

定価:120,000円

仕様:白銅(銀メッキ)、リッププレート銀製、Eメカあり

 

アルタスがプロデュースし、台湾で作られている楽器です。アルタス譲りの明るい音色が特徴です。

*上記に記載の価格は税抜き・定価です。講師の紹介があると、1〜2割ほどお安くなる可能性があります(新品に限ります)。

【コラム1】新品?中古?

 上記の初心者向けモデルに関しては中古があまりありませんが、右記の頭部管銀製モデル以上になると中古の楽器も売られています(ムラマツのEXで10万円前後)。状態が良ければかなりお得に手に入れる事ができます。

 ただし中古のフルートで難しい点として、前に使っていた方の吹き癖が残っていたり、扱いが悪くメカニックに問題がある事があります。金属にも息の通り道が見えない模様として残るので、素直に鳴らせていなかった人の楽器だと最初は全然響いてくれなかったり・・・しばらく吹き込んで漸く本来の音が鳴ってくることもしばしば。キィのガタつきが酷い場合は大変な修理費用がかかり、返ってお金がかかる事もあります。

 ということで、初めて吹く方が中古のフルートをご自分で探すのはあまりお勧めできませんが、ご相談いただければお手伝いしますので、お気軽にお申し付けください。

★演奏の質を上げてくれる低価格な楽器★

 

 初心者の方にオススメの楽器は、フルートとしての最低限の役割をしっかりと果たしてくれるものではありますが、上達して長年吹いていくとつまらなくなってしまい、割と早い段階で買い換えたくなってしまうことがあります・・・。

 少し予算に余裕があって、他にも楽器を経験してきた方ですと、最初からもう少し吹きごたえのあるものを購入した方が最終的には安く済むかもしれません。

 そんな方にオススメなのは、「頭部管銀製」もしくは「管体銀製」のフルート。先程ご紹介した楽器は一部を除き洋白や洋銀(銀ではありません)という素材に銀でメッキが施されているものです。一方銀で作られているパーツが増えると抵抗感が増えるので、吹き込み方によって音色の幅が広がり面白くなってきます。

 以下にご紹介する楽器は、定価で買うと概ね10万円、20万円〜・・・。しかしこれらの楽器には中古市場もあり、ちゃんと選んで信頼できる方に調整してもらえば安心して使うことができます。中古の楽器はある程度吹き込める方でないと選ぶのは難しいので、必ずご相談ください。

ヤマハYFL-311

定価:135,000円

仕様:頭部管銀製、管体・キィ白銅・洋銀(銀メッキ)、Eメカあり

 

ヤマハYFL-411

定価:185,000円

仕様:頭部管・管体銀製、キィ洋銀(銀メッキ)、Eメカあり

パール Dolce PF-665E

定価:143,000円

仕様:頭部管銀製、管体・キィ洋銀(銀メッキ)、Eメカあり

 

パール Dolce Primo E-DP/E

定価:200,000円

仕様:頭部管・管体銀製、キィ洋銀(銀メッキ)、Eメカあり

ハンドメイド頭部管です。

 

アズミ(アルタス)AZ-Z2

定価:150,000円

仕様:頭部管銀製、管体白銅(銀メッキ)、Eメカあり(オフセットのみ)

 

吹きごたえもあり、コストパフォーマンスの良い楽器です。

 

アズミ(アルタス)AZ-Z3

定価:220,000円

仕様:管体銀製、キィ白銅(銀メッキ)、Eメカあり(オフセットのみ)

 

上記のものと同じシリーズで、管体(キィ以外の部分)が銀製のもの。

 

ムラマツEX

定価:240,000円

仕様:頭部管銀製、管体洋銀(銀メッキ)、Eメカなし(Eメカありは+31,000円)

 

高い楽器が際限なく存在するフルートの世界において、この値段でこのポテンシャルの高さはさすがムラマツです。頭部管銀製で管体の作りも非常に良いと評判。吹き込むほど反応してくれるので、長く使っていけます。

 

*上記に記載の価格はいずれも税抜き・定価です。講師の紹介があると、1〜2割ほどお安くなる可能性があります(新品に限ります)。

上記でご紹介した以外にも、「サンキョウ」などがあります。


【コラム2】「オフセット」「インライン(ストレート」「カバード・キィ」「リング・キィ」とは

 フルートにはメカニックの作りに幾つか種類があります。まず一般的に初心者の方がお使いになるものが「オフセット」の「カバード・キィ」(写真では上の楽器)です。オフセットの楽器は左手の薬指で押さえるキィが他のキィより出っ張っているので、左手に無理がかかりにくく、手の小さい学生さんや女性にオススメです。反対にインラインの楽器(写真では下の楽器)はそのような出っ張りがなく、左手薬指のキィも他のキィと同じようにまっすぐ並んでいるので、手が小さい方にはちょっときついです。もともとフランスで好まれていたので「フレンチスタイル」とも呼ばれています。キィをまっすぐに配置することで部品の数が減り、シンプルな作りになるので響きが良いとされていますが、私見ではそれほど差はないように感じます・・・。手に無理がかからず、吹きやすい楽器で吹いた方が恐らく結果は良いと思います。

 「カバード・キィ」(写真では上の楽器)はすべてのキィがカップになっている(ふさがっている)もの、「リング・キィ」(写真では下の楽器)は両手の人差し指・中指・薬指のキィに穴があいているものです。リング・キィは音抜けが良いとされ、半開などの小技が使えること、穴をふさぐため必然的に手の形が綺麗になるなどの利点があります。かといってカバードが悪いということではないですし、リング・キィの穴をふさいで吹くことは難易度が高いですから、最初はカバードで始めるのが普通です。

 日本では一般的にカバード・キィの楽器はオフセットリング・キィの楽器はインラインで作られていることが普通ですが、手の大きさや指の長さの都合で無理にインラインを吹くことはお勧めしません。実際講師自身は小指が比較的短く、インラインだと左手の薬指に負荷がかかるため、現在はオフセットを使用しています。本数は少ないですが、オフセットのリング・キィも売られています。逆に手が大きい方、小指が長い方など、インラインの方が楽な場合はインラインをお使いください。

【コラム3】店頭で買う?ネットで買う?

 最近驚いたのは、フルートのネット販売市場の拡大です。安めの楽器ならともかく、結構なお値段の楽器までネットで買える時代になっています。周りではヤフオクも流行ってきました。配送方法・梱包に問題がなければネットで買っても良いと思いますが、店頭で実際に見て、吹いて、音を聞いて買う楽しみと安心もあります。

 私の生徒さんでフルートを買うのにネットを利用した方がいました。届いた楽器を吹いてみましたが、演奏上特に問題はありませんでした。配送方法について問い合わせた際も丁寧に対応してくださいました。買うものが決まっていてほとんど個体差が出ないような楽器(ヤマハ212など)は、ネット購入も選択肢として入れても良いかもしれません。店頭価格よりも安く買うことができますが、万一何か不具合があった時にはちゃんと返品/交換をお願いしましょう。また店頭で買っていない場合、楽器の調整・修理は個人的に楽器屋さんにお願いする必要があります(ご紹介は可能です)。

 頭部管銀製以上のクラスの楽器を買うときには、メーカーによる音色の違いや同じメーカーでも個体差(良し悪しというより微妙な音色の差など)があり、あまりネット購入はお勧めできません。店頭で実際に吹いて、自分の好みに合うかどうか、相性を確認して買うべきです。

楽器以外に必要なもの

 フルートの他にも楽器の演奏のために必要なものがいくつかありますので、こちらに記しておきます。

掃除道具

最低限必要なものは掃除棒、ガーゼ(大きめのもの)、クリーニングペーパー(脂取り紙でも代用可)。この3点は楽器購入時にサービスされることが多いです。この他にマイクロファイバーの楽器専用クロスがあると、楽器に残った手汗や脂をきれいに拭き取ることができます。

「はじめてセット」のようなものに入っていて必要のないもの・あるいは使うべきではないものもあります。パウダーペーパーは使い方に注意が必要です。キィオイルは自分では刺さずに、リペアの専門家に任せましょう。グリスもほとんど必要ありませんし、どうしてもジョイントが固くて使うときには必ず最後に拭き取ってからしまうようにしましょう。シルバークロスシルバーポリッシュは楽器の銀メッキを削りますので使わないほうが良いです。

チューナー・メトロノーム

技術的に向上するためにやはり欠かせないのがチューナー・メトロノーム。バラバラでも売っていますが、一体化されているものが便利です。

手鏡

始めたばかりの方が、自分の口元を確認する際に便利です。ある程度慣れてきたらほぼ必要なくなります。

筆記具

レッスン中に言われたことをメモしたり、普段練習をしていて気づいたことを書き込むのに使います。私は0.9ミリのシャープペンシルを愛用しています。

ケースカバー

初心者用のフルートを買った際には黒いケースカバーをつけてくれることがほとんどですが、だんだん欲が出てくるもの・・・。「フルート ケースカバー」で検索するとさまざまなデザインのものが見つかります。リュックタイプや撥水加工がされたものなど、機能もいろいろ。

譜面台

レッスン室にお越しいただく際にはこちらにあるものをお使い頂けますが、普段ご自宅での練習には欠かせません。吹くのにふさわしい姿勢を維持するのにとても大切な道具です。ピンからキリまでありますが、特に持ち歩かないのであれば安いものでも大丈夫です。持ち歩く場合には小さくたためて軽いものが良いですが、少しお値段も上がります。おすすめはヤマハの譜面台です。

テキスト、楽譜

レッスンの中でオススメのテキストや楽譜をご紹介します。楽譜は講師が代わりに購入して来ることがほとんどです(少しお安くご提供できるので)。

ファイル

講師自作のアンサンブル楽譜やテキストもお配りするので、それらをまとめるのにA4サイズのファイルをご用意いただくとバラバラにならず便利です。

 

スーパーノート¥1,512(Amazon)


 楽器を始めるにはこれだけのものが必要になります。しかし、楽器を買ったお店で特典として小物をつけてくれることが多いですので、まずは楽器を探しに行き、ついていなかったものを買い足すというのがスムーズでしょう。その他の色々な便利グッズはこちらでご紹介しています。

レッスンの受け方・日々の練習について

レッスンのペースはどれくらい?

 現在最も多いのは1か月に2回のレッスン(2週間おき)の方です。毎週レッスンを受ける方もいらっしゃいますが、レッスンの内容を復習する時間が十分にある方か、普段なかなか練習できないので、練習も兼ねて毎週吹きにくるという方です。

 2週間に1回ペースですと、前のレッスンの内容を咀嚼して自分のものにする時間が取れ、1月に1回ペースより前回のことを活かしやすいのでオススメです。

自分での練習って何をすればいいの?

 レッスンを受けた後、次のレッスンまでにご自分で練習することがとても大切です。レッスンでは、音色を磨くためのエクササイズ、譜読みや指の動きをスムーズにするための技術的なトレーニング、課題曲を提供します。指定されたテンポや吹き方を持ち帰って復習すると、そこで最も上達します。練習はこの思い出し作業とその反復です。もちろん吹いてみたい曲を吹く時間も。

 練習をしていてまた疑問が生まれたら、次のレッスンに持っていきます。楽器のレッスンなどの「芸事」では、このサイクルを作ることが大切です。

どれくらい練習すればいいの?

 小中高校生、大学生・専門学校生、お仕事のある方、主婦の方、リタイヤされて自由な時間がある方・・・こちらにいらしている生徒さんも様々です。練習に確保できる時間にもかなりの差がありますので、一概に「毎日1時間」のように言えません。

 楽器を吹くという行為は全身の筋肉を繊細に使います。特に顔周り、楽器を支える身体、呼吸に関係する筋肉・・・。これらはコンスタントに使わないと簡単にゼロに戻ってしまいます。せっかく吹けるようになってきても、間が空いてしまうと非常にもったいないのです。特に始めたばかりの頃は、なるべく何日も空けないようにできると良いです。

 練習はそれぞれの生徒さんのペースで、細く長く続けていくのが理想です。できれば毎日、10分、15分でも良いので楽器を吹く。それが難しかったら週2〜3日、気が向いたときに30分くらい吹いてみる。レッスンで習得したことを忘れないうちに復習するのが大切です。

 ちなみに大学受験の頃の私は1日5時間以上吹く日もありましたが、今思えばそんなにいらなかったかなと・・・(笑)現在は毎日1〜2時間程度。時間がないときは30分以下の日もあります。長くやれば良いというのでもなく、効率よく中身のある練習を集中して行うことが大切です。


譜面が読めません

「譜面が読めないけれど吹きたい!」という方も大歓迎です。音符の読み方、リズムの数え方、記号の意味など、丁寧にお教えします。お子様の場合は理屈よりも感覚で覚えたほうが早いのですが、大人の場合は一つ一つ仕組みを理解しながらの方が身につきやすいようです。また知っているメロディーから入っていくと、「あのメロディーは譜面だとこうなるのか!」という楽しみもあるので、曲を吹きながら楽譜に慣れていただいています。

大人から始めても吹けるようになるの?

 楽器の英才教育の最たるものは「ピアノ」と「ヴァイオリン」です。この二つの楽器は特に、物心がつくかつかないかの頃から訓練が必要とされています。これらの楽器を大人になってから始める人も現在はとても多いと聞いています。しかしながら、やはり子供の頃から経験を積んでいる人に比べると相当に苦労するようです。それは指一本一本の神経を分離し、育てなければならないからです。

 管楽器の場合、指の位置はキィの上と決まっているため、この点はピアノやヴァイオリンと比べるとかなり難易度が下がります。また、リード楽器のような繊細な発音体ではないので、両唇・上下の歯・舌が備わっていれば誰にでも音を出すことができます。なので、吹いてみたいと思っていたメロディーを吹けるようになる日もそう遠くありません。特にピアノや他の管楽器を経験してきた方でしたら、フルートの音を扱えるようになるのも早いですよ!